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ははとわたしのこと maatoma.exblog.jp

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はは79歳で乳がんに。ははと わたしのあれこれ忘備録


by maatoma
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熊蜂



熊蜂_d0356114_22553141.jpg
『ブリューゲル「バベルの塔」展』ポスターより@東京都美術館
7月2日まで。見に行きたい!



【入院7日目】

午前中、わたしの婦人科に行く。
貧血なので鉄剤の注射の日。
注射針が入らず、左、右、左と
3度目でようやく入る。
下手っぴい!と心の中で叫ぶ。

子宮体がんの疑いがなくなったので
先生に鉄剤の注射は従来通り近所の
内科でしたい、一年後くらいにまた
診てもらいたいと申し出るが、先生は
「一年後ではなく、半年後にしましょう」
ということで、7月の予約を入れる。
早い、早い。2か月後だ。

ははの目が窪んでいる。
「昨日は眠れなくて睡眠薬を(いつもは一錠を)
二錠飲んだ」と言う。
隣の人の咳のせいだ。
吸引してもしても止まらない大きな咳。
お互いさま、という余裕がははにない。
わたしの顔をみたとたん、愚痴を言いた
そうなので、すぐに談話室に連れ出す。

午前中、先生の回診で胸のドレーン(管)の
抜糸をした。そのときの話。
「85才まで生きるとして、がんに
なってしまったから、その寿命は短くなるの
でしょうか」と聞いたらしい。
先生は「それは何とも言えない」と困った様子
だったという。
そのとおりだと思うが、はは「がんはがんだよ」
とひとり納得している。
「糸を抜いているからしゃべらないでください
って言われちゃった」

それで「りちてきな、の『ち』はどう書くの?」
とはは。ノートに「理知的な女の先生」と
書いておきたいらしい。まだ30代だろうか。
確かにショートヘアが似合う理知的な女医さんだ。
主治医の先生の助手をしている。

次は、がんの熊蜂説。
「がんって熊蜂だね。あっちにいって、こっちにいって。
ここが美味しそうだからって、狙いをつけて刺しに
きたのかしら」と自分の胸を指す。
ははの頭の中で、がんが一体どれだけ占めて
いるのだろう。大きな石のように目の前を
塞いでいるのかもしれない。

最後は、わたしの服装チェック。
「もっと涼しい格好をしたら。白のパンツが
いいわよ」
ようやくいつものははらしい会話に戻る。

久しぶりの雨に降られて帰った。

今夜はよく眠れていますように。

by maatoma | 2017-04-17 23:30