【入院9日目】
急だった。
朝の10時前、非通話通知の着信。
ははだった。退院が明日に決まったという。
たまたま携帯電話がない日だった。
わざわざ下まで降り、横断歩道を渡り
テレホンカードを買い、別病棟の
公衆電話から電話してきたのだ。
睡眠薬のせいでどこか眠そうな声。
急いで確かめに病院へ。
胸のドレーンが外れていた。
昼過ぎ、同室の今日が手術だという
患者さんのところへ主治医の先生が
みえ、帰りに寄ってくれる。
やはり、退院は明日だ。
先生、忙しいのに、ははの「がんのせいで
寿命は短くなるのか」という質問に嫌がら
ずに答えてくれる。
「それはないですよ、大丈夫ですよ」
「心配しなくていいですよ」
それなのに、依然として納得いかない表情だ。
気分転換に補正下着を買いに行く。
看護婦さんに勧めてもらった前開きタイプの
ブラジャーとパッドだ。
ブラジャーは一番大きいサイズで決定。
ただ、パッドはブラのサイズに合わせると
大きいのではという店員さんの見立てで
ワンサイズ下を選ぶ。
ブラ2800円(税別)パッド1600円(同)
わたしよりずっとおしゃれ心のあるはは。
これからいろいろと試していけばいい。
明日で入院10日目。予定通りとはいえ、
急に慌ただしくなった。
「明日は早くきてね。早く家に帰りたい」
夏日も連続4日の記録を更新中だ。